13日に進級公演の本番があった。
お客様の顔は目に入らなかった。
ナース役の私の目の前には、病室が広がっていた。
気持ちが高ぶる。
でも、口を開けたとたんにセリフに専念してしまう。
…となるかと思ったけど、客観的になったのは一セリフの直前だけで、役の気持ちのままセリフをぶつけることができた。
楽しい。
本気で思った。
進級公演の練習態度はひどいものだった。
12月はオーディションが近いから、とほとんど出席せず、
オーディションが終わってからは練習に出るものの睡魔に全く太刀打ちできず、
演技が下手だからアドレスをたくさん戴いたのに消化仕切れずにパニックになり、
おまけに本番まであと5日を切ってから体調を崩して休み、
本番はガラガラ声。
それでも私がいるCキャストのメンバーは私を役から降ろさず、応援してくれた。
反省と感謝の気持ちしかない。
いっそ私を役から降ろしてくれたら私もメンバーも楽だったかも知れない。
でもみんなはその選択をせず、問題児を抱え続けてくれた。
その優しさは、私にいろいろ学ぶチャンスをくれた。
本気で舞台を愛している人は、言葉や行動でどれだけ勉強したかわかる。
アドバイスがその役についてものすごく深い感情まで読んだ上のものだったり、台詞に説得力があったり。
なにより楽しそうに演技をする。
心から楽しそうに。
自然と尊敬の眼差しで見てしまう。
たとえ苦手な人でも。
それと同時に、自分はどうしてこうなんだろう、と後悔し、反省する。
何度も同じことを繰り返してしまうと、他のことのせいにしたくなってしまう。
例えば、睡魔に勝てないのを精神病の一種なんだと思いたくなってしまう。
自分の弱さを認めたくないだけ。
そんなのわかってるけど、わかってるのに身体が思った通りに動かない。
それだって私の意志の弱さのせい。
来年度から先輩になる。
いい加減、治さないと。
PR